育成就労制度の創設に伴い、監理支援機関が外国人材の採用段階、すなわち職業紹介に関与することができるのかという点について、疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
結論から申し上げますと、監理支援機関は一定の範囲において、受入企業と外国人との雇用関係の成立に関与することが可能です。ただし、その位置づけは一般的な職業紹介事業とは異なり、あくまで制度上の特例として認められているものである点に十分な注意が必要です。
育成就労法においては、監理支援機関が外国人の受入れから育成、そして監理に至るまでを一体的に担うことが望ましいとされています。
このような制度設計のもと、監理支援機関には例外的に、育成就労実施者と外国人との間の雇用関係の成立に関与する、いわゆる「斡旋」が認められています。これは、採用から就労、そしてその後の育成・監理までを一貫して支援することで、制度の安定的な運用を図るという考え方に基づくものです。
もっとも、ここでいう「斡旋」は、一般的な意味での職業紹介とは必ずしも同一ではありません。監理支援機関が行うことができるのは、あくまで育成就労制度の枠内に限定されたものであり、他の在留資格に関する人材紹介や、営利目的で広く人材を募集・紹介する行為まで認められているわけではありません。
したがって、制度の枠を超えた形で人材紹介を行った場合には、職業安定法上の無許可の職業紹介と評価されるリスクも否定できず、実務上はその線引きを十分に意識する必要があります。
さらに重要な点として、雇用関係の成立の斡旋のみを行い、その後の監理を行わない場合や、逆に監理のみを行い斡旋に関与しない場合には、それ自体が監理支援事業として評価されないとされています。
すなわち、監理支援機関の業務はあくまで一体的なものであり、採用と監理を切り離した形での事業運営は、制度の趣旨に反する可能性が高いといえます。この点は、ビジネスモデルを検討する際に特に注意すべきポイントです。
また、この斡旋はあくまで職業安定法の特例として認められているに過ぎません。したがって、監理支援機関であっても、同法に基づく各種義務から免れるわけではありません。
具体的には、労働条件の明示や求人情報の適正な表示、求職者の個人情報の適切な管理、さらには守秘義務の遵守など、職業紹介に関する基本的なルールは当然に適用されます。これらを軽視した場合には、行政指導や是正の対象となる可能性もあるため、制度の理解と併せてコンプライアンス体制の整備が不可欠です。
実務の現場では、監理支援機関の関与範囲が曖昧なまま運用されてしまうケースも想定されます。特に、紹介手数料の取り扱いや、監理費用との区分、さらには他制度との役割の違いについては、事前に整理しておかなければ後々トラブルにつながる可能性があります。
特定技能制度における登録支援機関や、従来の技能実習制度における監理団体とは制度趣旨や法的根拠が異なるため、これらと同じ感覚で運用してしまうことは適切ではありません。制度ごとの違いを正確に理解した上で、適法な範囲内で事業を構築していくことが求められます。
監理支援機関による雇用関係の成立の斡旋は、育成就労制度の中で認められた重要な役割の一つですが、その実態はあくまで限定的かつ特例的なものです。制度の趣旨を踏まえ、一体的な支援体制を前提としながら、職業安定法の規制にも十分配慮した運用を行うことが不可欠です。
監理支援機関の設立や運用にあたっては、制度理解だけでなく、実務上のリスク管理やスキーム設計が非常に重要になります。とりわけ制度開始直後の段階では解釈が固まっていない部分も多く、自己判断による運用は思わぬリスクを招くおそれがあります。
そのため、初期段階から専門家の関与のもとで体制を整備していくことが、結果的に安定した事業運営につながるといえるでしょう。
●当事務所では、育成就労制度における管理支援機関の許可申請サポートと外部監査人就任に対応予定。監理責任者等講習には2026年5月受講予定で、修了書取得後(2026年5月下旬予定)の申請案件から対応可能です。⇒関連サイト