日本の外国人雇用制度は、いま大きな転換点を迎えています。長年続いてきた技能実習制度に代わり、新たにスタートするのが「育成就労制度」です。
企業や受入れ担当者の方からは、「いつから始まるのか」「日本語能力はどの程度求められるのか」といった声が多く聞かれます。
ここでは、現時点で公表されている施行スケジュールと、日本語能力の考え方について整理します。
育成就労制度は、技能実習制度に代わって2027年4月1日から正式に施行されることがすでに決まっています。これは改正入管法・育成就労法が2024年6月に成立したうえで、法令や省令も令和7年(2025年)9月30日に官報で公布されたという実績があるためです。
そして、2026年1月23日には、特定技能制度と育成就労制度の分野別の運用方針が政府閣議決定されました。これはこの制度の運用ルールとして重要な基本方針が確定したことを意味します。
こうした動きを受け、実務では次のような段階で準備が進んでいると理解されています。
まず、省令・政令が2025年9〜10月頃に公布されたことで、法的な制度設計の骨格が整いました。そして2026年初頭の閣議決定によって、運用面の方向性も決められています。
現時点では、
という段階にあり、まだ制度本格稼働までの最終手続き(監理支援機関等の事前申請受付開始)は始まっていません(2026年2月時点)。
今後、各省庁や出入国在留管理庁の公開情報を注視する必要があります。
つまり、企業側にとっては「2027年から考えればよい制度」ではなく、すでに段階的に備えるべき制度だと言えます。
育成就労制度で大きく変わるポイントの一つが、日本語能力の評価方法です。
従来は、日本語能力試験(JLPT)のN4・N3といった資格の有無が重視されがちでしたが、新制度では「日本語教育の参照枠」が活用されます。
これは、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に準拠した考え方で、語彙や文法の知識量ではなく、「日本語を使って何ができるか」を基準に評価するものです。
就労の場面で想定されている主なレベルは、A1からB1です。
A1レベルは、簡単な指示を理解し、検品や清掃、収穫などの単独作業をこなせる段階です。A2になると、定型的なやり取りが可能になり、簡単な接客や調理補助なども視野に入ります。さらにB1レベルでは、身近な話題について要点を理解でき、上司のサポートがあれば、より幅広い業務に対応できるとされています。
このように、業務内容と日本語レベルを結びつけて考える点が、新制度の大きな特徴です。
多くの企業が気になるJLPTとの関係についても、一定の目安が示されています。A2レベルはN4相当、B1レベルはN3相当、B2はN2相当と整理されつつあり、2025年以降、試験結果通知の中で段階的に示される予定です。
ただし、あくまで目安であり、今後は「N3を持っているか」よりも、「現場でどの程度日本語が使えるか」が重視される流れになると考えられます。
育成就労制度への移行は、単なる制度変更ではありません。外国人材を「育成しながら戦力化する」ことを前提とした仕組みであり、日本語教育や業務設計の在り方そのものが問われます。
受入れ企業としては、予定している業務内容がどの日本語レベルを想定しているのかを整理し、将来的な教育体制を見据えておくことが、スムーズな制度対応につながります。
関連サイト⇒特定技能自社支援ネット関西(育成就労制度とは)
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